データ復旧率・復元率とは何?
各データ復旧業者さんのサイトに「特徴:復旧率9〇%」として掲載されているページを見かけます。
ちなみに、復旧率=[分母が持ち込まれた件数]で[分子が復旧できた件数]だと仮定しますと60~70%台(全業者平均)です。90%以上なんて数値は詐欺の領域でしょう。
当店へのお問い合わせで「復旧率がホームページに掲載されていませんが何%ですか?」という問い合わせを頂く事が多くあります。
この点について解説させて頂きます。
データ復旧業界として統一された定義は一切ございません。
また、[データ復旧率]と[データ復元率]の違いもありません。
各社様のホームページには、何の根拠も無い数字を勝手に並べて掲載されていたり、復旧作業の結果報告書に記載されています。
数値の根拠を明確に記載されていれば宜しいのですが、ただ単純に数値だけを掲載されたサイトもよく見かけますので、大切なデータが消失して不安な気持ちになっている方につけ込んで混乱させているようです。
このような詐欺まがいの表記は、同業者として決して許される事ではありません。
データ再現率
某大手データ復旧専門業者のホームページには[データ再現率]という変な?!用語が掲載されています。
紛らわしい用語なので説明させて頂きます。
データ再現率とは
その業者様のホームページには、データ再現性の定義が記載されています。
[調査後に報告済み内容が、復旧後に再現できた率]と記載がありますが、これも訳の判らない事を書かれています。
そもそも[調査後に報告済みファイル数]と[復旧後に再現できたファイル数]が異なる事自体があり得ない事なのです。何を持って[調査]と言うのでしょうか??? [調査]が完了していれば[データ復旧]は完了しています。
つまり、100%同じに決まっているのです。
データ復旧の工程
1:初期診断で物理障害か論理障害
2:論理障害と判定した場合、論理復旧を行い、結果からリストを作成して提示します。
3:軽度の物理障害と判定した場合、障害ディスク全体のイメージデータを回収後、論理復旧を行い、リストを提示します。
4:重度の物理障害と判定した場合、障害ディスクを開封(HDDの場合は蓋を開け事。USBメモリーの場合はメモリーICを基盤から取り外す事)し、不良部品を交換したりイメージデータを回収し、その後に論理復旧を行います。
成功率とは?
データ復旧サービスでは、成功率を記載しても何の意味もありません。そもそも定義がありません。
掲載する事は良い事?悪い事?
サイトに掲載する場合はその根拠(分母と分子)を明確に表記すべきだと思います。
根拠のない復旧率は絶対に掲載してはいけません。
某大手業者では「復旧率は95パーセント」等と掲載されいています。
しかし、ちなみにHDDの場合の業界平均復旧率は「70%前後(2022年現在)」が正しいのです。
もし80%以上の数値を掲載されていれば【嘘・偽り】、もしくは【重度障害のHDDは受け付けていない業者】でしょう。そもそもその数値の根拠が掲載されていませんから何の意味もありません。
例えば「メーカー名がSeagate」の「型番ST2000DM001(容量2TBモデル)」や「型番ST3000DM001(容量3TB)」等のモデルは自然故障による寿命もダントツ早く、ヘッドクラッシュ(破損したヘッドがプラッターに接触して傷付ける事)したら復旧ができません。過去、このモデルが多量が持ち込まれました。
社内に限り統計をとれる数値は?
計算するには分母と分子が必要ですが、以下の統計は取れるでしょう。
-
- 診断を申し込まれた件数
- 復旧をご注文された件数
- 障害メディア(回収元)から回収できた容量
- 回収できたセクター数(物理最小単位)
- 回収できたファイル数
- フォルダ名が復元できた数
- 上記、ファイル数
- 整合性が正しいファイル数
- 正常に開けたファイル数
- 静止画像の場合は、[ブレビュー]の[特大アイコン]で100%の面積が復元できた枚数
- 静止画像の場合、[プレビュー]の[中アイコン]が表示できた枚数
- 静止画像の場合、[プレビュー]の[小アイコン]が表示できた枚数
- 動画の場合、スタートアイコンに静止画像アイコンが表示されたファイル数
- 動画の場合、先頭から終わりまで正常に閲覧できたファイル数
- Officeファイルの場合、修復要求のメッセージが表示されずに開けたファイル数
- コンテンツ内のデータに文字化けがなく色の復元や計算式の復元ができたファイル数
- 納品ファイル数
- 納品データ容量
復旧率・復元率・成功率のまとめ
以上の通り、どの数値を分母にし、どの数値を分子にするかにより、復旧率は大きく異なるのです。
つまり、統計数値が正しかったとしても、何の意味もない、比較するのは無意味な数値なのです。
[パソコンデータ福岡]では、復旧率は掲載しない方針です。
また、各ユーザー様への結果報告書には、ハードディスク(HDD)の場合、計算式の分母はHDD全体の容量やセクター数、分子は障害HDDから作業用HDDへコピーできた容量やセクター数で表現するようにしています。
故障前のファイル数がいくつだったのかは誰も判りませんから・・・。
メモリーの場合は、HDDのような計算はほぼ不可能です。メーカーが表示している容量も適当な数値です。
USBメモリーの場合、ケースに記載されている型番シールも剥がれていたり、摩擦で文字が消えている物が多いのです。型番を金属部に刻印されてるのはSONY位でしょう。