各データ復旧業者さんのホーページに「当社の復旧率」として掲載されているページを見かけます。

また、電話やメールで診断のお申し込み前に「復旧率がホームページに掲載されていませんが何%ですか?」という問い合わせされる方が一定数いらっしゃいます。

そもそもデータ復旧率とは何?

業界として統一された定義はございません。
各社さんが勝手な数値をホームページに掲載されたり、復旧作業の結果報告書に記載されています。

数値の根拠を記載されていれば宜しいのですが、ただ単純に数値だけを掲載されてサイトもよく見かけますので、大切なデータが消失して不安な気持ちになっている方につけ込んで混乱させているようです。

このような詐欺のような表記は、同業者として決して許される物ではありません。

掲載する事は良い事?悪い事?

では、各社さんが自社の統計の上で復旧率を計算される分には良い事だと思います。

しかし、掲載する場合は根拠を明確に表記すべきだと思います。

根拠のない復旧率は絶対に掲載してはいけません。

某社は「復旧率は9●パーセント」と掲載されいています。

ちなみにHDDの場合の業界平均復旧率は「70%~80%」が正しいようです。

もし80%を越えていれば、何処でも復旧可能なダメージレベルのHDDだけを受け付けているのでしょう。

例えば「Seagate」の「ST2000DM001(容量2TBモデル)」や「ST3000DM001(容量3TB)」等、このシリーズで1TB以上のモデルは故障率もダントツ高く、ヘッドクラッシュしたら殆どが復旧できていません。当時、販売価格が最安モデルだという点もあるでしょうが、多量が持ち込まれます。

社内に限り統計をとれる数値は?

計算するには分母と分子が必要ですが、以下の統計は取れるでしょう。

  • 診断を申し込まれた数
  • 復旧をご注文された数
  • 結果、障害メディアからの回収容量
  • 回収できたセクター数(物理最小単位)
  • 回収できたファイル数
  • 論理復旧後、フォルダ名が復元できた数
  • 上記、ファイル数
  • 整合性が正しいファイル数
  • 正常に開けたファイル数
  • 静止画像の場合は、特大アイコンで100%の面積が表示できた枚数
  • 静止画像の場合、小アイコンが表示できた枚数
  • 動画の場合、スタートアイコンに静止画像アイコンが表示されたファイル数
  • 動画の場合、先頭から終わりまで正常に閲覧できたファイル数
  • Officeファイルの場合、修復要求のメッセージが表示されずに開けたファイル数
  • コンテンツ内のデータに文字化けがなく色の復元や計算式の復元ができたファイル数
  • 納品数
  • ご注文頂いたユーザー様が、一部のファイるの復旧を希望された場合、そのファイル数
  • 上記の納品ファイル数

  • 復旧率のまとめ

    以上の通り、どの数値を分母にし、どの数値を分子にするかにより、復旧率は大きく異なるのです。

    つまり、統計数値が正しかったとしても、何の意味もない、比較するのは無意味な数値なのです。

    私は、ホームページには復旧率は掲載しない方針です。

    また、各ユーザー様への結果報告書には、ハードディスク(HDD)の場合、計算式の分母はHDD全体の容量やセクター数、分子は障害HDDから作業用HDDへコピーできた容量やセクター数で表現するようにしています。

    故障前のファイル数がいくつだったのかは誰も判りませんから・・・。

    メモリーの場合は、HDDのような計算はほぼ不可能です。メーカーが表示している容量も適当な数値です。

    USBメモリーの場合、ケースに記載されている型番シールも剥がれていたり、摩擦で文字が消えている物が多いのです。型番を金属部に刻印さあれてるのはSONY位でしょう。